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◆講演者:Dr. Mario A. Cypko (ハーン=シッカード、グループリーダー/ フライブルク大学、講師)
◆講演タイトル:“Bringing Clinical Knowledge Modelling, Human-AI Collaboration, and Medical Image Analysis: Towardds Model-Guided Medicine and Explainable Clinical AI”
◆日時:2026年6月16日(火) 17:00~18:00
◆会場:東京農工大学 小金井キャンパス 6号館 3階 L0631講義室
◆言語:英語
◆開催担当者:工学研究院 清水 昭伸 教授 (グローバルイノベーション研究院 動物共生情報学拠点 )
◆開催案内
◆参加人数:30人
講演概要
Mario A. Cypko博士をお迎えし、GIR公開セミナーを開催した。Cypko博士は、AIを用いた医療支援を専門とし、特にベイジアンネットワークにおいては世界的に著名な方である。本セミナーでは、「臨床知識モデリング、人間とAIの協働、および医療画像解析の架け橋:モデル主導型医療と説明可能な臨床AIに向けて」というタイトルで講演をいただいた。
Cypko博士は、まず、臨床的意思決定においては、解剖学的計画・シミレーションモデル、確率的意思決定モデル、ワークフローモデル、画像AI、そして新興の大型言語モデルやマルチモーダル基盤モデルなど、複数のモデルクラスの活用、評価、統合がますます重要になっていることを述べた。しかし、これらのモデルが永続的な科学的対象として扱われることはほとんどなく、その多くは特定のタスクのために作成され、孤立した性能指標によって評価され、仮定、使用目的、臨床的適用範囲、妥当性の境界、責任、バージョン履歴、ライフサイクル状況なとが明示的に文書化されることなく普及していることを指摘した。続いて、臨床モデルが、意思決定のために管理され、検証可能で、人間が解釈可能かつライフサイクルを意識した成果物となる「モデル主導型医療」への移行を提唱した。臨床モデリングは単なる予測に還元することはできないこと、医学的知識には、数学的に意味があり、透明性が高く、人間が読み取れる表現も必要であり、それらはレビュー、維持、更新が可能で、臨床上の目的、文脈、行動と結びつけられるものでなければならないことを述べた。さらに、知識ベースのモデルは、その目的、仮定、有効性の文脈が臨床レビューに十分なほど明示されている場合、意思決定、予測、またはシミレーションシステムとして機能し得ることを説明した。また、特に時系列データ、医療画像、およびマルチモーダルな患者表現において、臨床知識とデータ駆動型AIの架け橋となる可能性もあることを指摘し、因果ネットワークに基づくマルチモーダル埋め込みモデルに関する予備的研究を用いて、この視点を説明した。ここで、埋め込みは透明な知識モデルとして提示されるのではなく、部分的に不透明な表現として提示されること、その臨床利用には、検証可能な知識構造、妥当性の仮定、および人間とAIの相互作用メカニズムへのアンカーリングが必要となることについても触れた。
本講演において、Cypko博士は、医学にはデータサイエンスやインフォマティクスと並んで、専用の「医療モデル科学」が必要であると結論付けた。これは、臨床モデルを、その作成、検証、比較、維持、ガバナンス、および廃止に関わる独立した認識論的・運用上の層として確立するものである。このような層がなければ、モデル変種の制御不能な生成と拡散、AIが生成した主張、および幻覚的な疑似知識により、検証済みの臨床知識と、単に妥当に見えるだけの虚構との区別が損なわれる恐れがある。課題は、より多くの臨床AIを構築することだけでなく、どのモデルが医学を導くのに正当化されるかを決定することにあることを指摘して講演を結んだ。
公開セミナーには TUAT 滞在中の海外の大学の博士課程の学生や研究者も参加しており、セミナー終了後には、学生・教員らによる総合的なディスカッションがあり刺激的で非常に有意義なセミナーであった。
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