メニュー

トピックス

【2022.12.16.GIR公開セミナー報告】”Microbial reduction of sub-micromolar N2O: from ecophysiology to practical applications”

イベント報告
2023.1.26

◆講演者:Dr. Sukhwan Yoon(韓国、韓国科学技術院 (KAIST)、准教授) 

◆講演タイトル:”Microbial reduction of sub-micromolar N2O: from ecophysiology to practical applications”

◆日時:2022年12月16日(金)

◆会場:東京農工大学 小金井キャンパス 11号館 L1113、Zoom

◆言語:英語

◆開催担当者:寺田 昭彦 教授 (グローバルイノベーション研究院 エネルギー分野 寺田昭彦ユニット)

開催案内

◆参加人数:  25 名(対面22名、ZOOM3名)

講演概要

 第3の温室効果ガスである亜酸化窒素(N2O)は、年々大気濃度が増加し、削減することの重要性が喧伝されている。年間数億トンレベルで人為的・天然由来の窒素化合物が地球上で微生物などにより変換・循環する際、N2Oは副生成物として発生する。削減に向けた戦略の1つとして、N2Oを消費可能な細菌(N2O還元細菌)群の探索・獲得し、利用することが挙げられる。講演者のYoon准教授はN2O還元細菌の生理生態解析において世界を先導する若手研究者である。今回のGIRセミナーでは、Yoon准教授に、N2Oを消費する細菌群の探索や生理学的機能に関する最新知見と今後の展望についてご講義頂いた。
 まず、人為的なN2O排出源としてその排出量が急激に増加している排水処理プロセスに着目し、多様な処理プロセスを組み込んだ様々な生活排水処理施設を対象としたN2O還元細菌の生態についての研究成果が紹介された。多様性に富んだN2O還元細菌の排水し処理施設内での動態を正確に把握する手法として定量PCR法は有力であるが、検出のために用いられてきた既存のプライマーは特異性が低く、過大評価につながるといった定量性の課題を抱えていた。そこでYoon准教授らのグループは、独自のプライマーセットを開発し、定量の確度を向上させた。さらに、ユニークなN2O還元細菌の動態を追跡することに成功した。
 N2O還元細菌は酸素存在下でN2O消費活性を失うことが知られており、探索の際には嫌気的環境下で培養を行うことが知られている。Yoon准教授らは、嫌気培養下においても酸素の混入が避けられないことを偶然観察した。本来所望の実験条件が担保できない状況を逆手に取り、微量な酸素の存在下でもN2O消費活性を有する特長的なN2O還元細菌の培養に取り組んだ。その結果、Burkholderia属のN2O還元細菌が微量な酸素存在下でも活性を有する優れたN2O還元細菌であることを明らかにした。
 さらに講演では、N2O還元細菌を用いた散水ろ床法による排水処理とN2O削減に関する技術の概要と性能について紹介された。また、未だに報告例の無い独立栄養型の水素資化性異化的硝酸還元を行う細菌群の探索に関する研究紹介が行われた。
 N2Oの変換に関わる微生物群の生理生態に関する世界最先端の研究について、理路整然とわかりやすく説明された。実験においてセレンデュピティを大切にすること、研究を楽しむこと、といった心構えに関しても熱意をもってお話して下さった。
 参加した大学院生・若手研究者から研究内容、キャリアに関して多くの質問が飛び交い、Yoon准教授は1つ1つ丁寧にご回答いただき、熱の籠った質疑応答時間となった。闊達な議論が続き、当初予定していた時刻を20分超過しての閉会となった。

このページの上部へ