メニュー
◆講演者:Dr. Clotilde Policar (フランス、パリ高等師範学校 、教授)
◆講演タイトル:”metal complexes in biology: metal-based antioxidants as enzymes mimics and metal-CO as probes”
◆日時:2026年7月24日(金)(16:00~17:30)
◆会場:オンライン
◆言語:英語
◆開催担当者:グローバルイノベーション研究院・工学研究院 櫻井 香里(グローバルイノベーション研究院 ライフサイエンス分野 櫻井チーム)
◆開催案内
◆参加人数:12人
講演概要
フランス・パリ高等師範学校よりClotilde Policar先生をお迎えして、GIR公開セミナーをオンライン開催した。Policar先生はスーパーオキシドディスムターゼ(SOD)などの抗酸化金属酵素を模倣する金属錯体の合成開発や金属錯体プローブを用いた生物無機化学研究を中心として異分野横断型研究プロジェクトを展開されている。パリ高等師範学校ではDean of the sciences educationを務められているほか、ACS Inorganic ChemistryのAdvisory board委員などを歴任し活躍されている。
本セミナーでは、生体無機化学の歴史と現代の課題を背景に、「金属系触媒抗酸化剤の設計」および「Re(CO)₃化合物をベースとしたイメージングプローブの開発」の2つのテーマを中心に解説していただいた。
金属錯体の生物活性には、細胞浸透性や細胞内分布、化学種(speciation)が大きく関与する。分子が混雑した複雑な細胞内環境では、試験管内で活性を示す化合物でも細胞内で失活する場合があるため、細胞内での直接的な構造・活性相関の解析が必須となる。そこでPolicar先生らはこれまでに、金属系抗酸化剤(SOD模倣体)の設計と評価において、超酸化物ジスムターゼ(SOD)模倣プローブを開発し、細胞内における活性評価・イメージング・化学種解析・レドックスオミクス解析を実施した。さらに、細菌をデリバリー担体として利用し、炎症性腸疾患(IBD)モデルにおける抗炎症剤としての応用可能性について紹介された。イメージングに基づく取り込みアッセイにより時間経過課程の解析が可能となったほか、構造活性相関や標的部位に関する重要な知見が得られた。
さらに、レニウムカルボニル核を有する単一核マルチモーダルプローブ(SCoMPIs)の開発に関するテーマについて、先進イメージング技術として、赤外(IR)分光イメージングやX線蛍光(XRF)イメージングなどの非従来型手法を用いた細胞内マッピング技術が解説された。具体的には、SOD模倣プローブへの応用として、 Re(CO)₃プローブを結合させ、細胞内における錯体の構造保持(完全性)を追跡した例や、オルガネラトラッカーとして、X線蛍光マッピングに対応した、細胞小器官(オルガネラ)選択的なイメージングプローブの設計事例が紹介された。これらの研究を総合することで、金属錯体プローブ設計と生細胞イメージングを統合した生物無機化学とバイオロジーを横断する強力な研究手法の枠組みが確立された。革新的な抗炎症剤を用いたがん治療に向けた新たな研究の方法論について学ぶことができた。セミナー後には教員のみならず、学生からも質問があり、活発な議論を交える有意義な機会となった。
このページの上部へ