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子を健やかに育む母子間コミュニケーション、母乳と腸内細菌叢の重要性

【ライフサイエンス】 永岡チーム (2021年度活動終了) ※終了時の情報を記載しています

  • 研究概要

    高齢化に伴う医療費の高騰が我が国の社会保障制度を圧迫していることから、「病気にならない」ライフスタイルの確立が求められている。我々哺乳類は乳腺を獲得し、母乳を作り子に与える「哺育」を繁殖戦略に取り入れ発展してきた。母乳は子にとって完全栄養食であり、タンパク質と乳糖を主体として各種ミネラルやビタミンの他、遊離アミノ酸も多く含まれており、子を単に成長させるだけでなく、子を健やかに育てる役割を担っている。哺乳類にとって腸内細菌叢は生体の恒常性維持に重要であり、腸内細菌叢の乱れが様々な疾病の発症リスクを高めることが知られている。腸内細菌叢は産まれて間もなく形成が開始され、離乳時には成動物と同様の菌叢を獲得する。すなわち、母乳と腸内細菌を介して母子間のコミュニケーションが行われており、そのメカニズムを明らかにし、哺乳中に形成される基本菌叢を健常に整えることができれば、様々な疾病に対する発症リスクを低減できると考えられる

  • 研究目的

    近年、多くの疾病の発症リスクは、遺伝的素因や成人における生活習慣だけでなく、胎児期や乳児期の環境に影響されるというDevelopmental Origins of Health and Disease (DOHaD)仮説が注目を集めている。すなわち、胎児期と乳児期の発育管理を正しく行うことが、病気にならない「健康長寿」社会に向けた「究極の先制医療」となりうると考えている。本研究チームは、乳児期に生じる腸内細菌叢形成に着目し、母乳が整える腸内細菌叢が子の脳機能や免疫機能などの生体機能を頑強に発達させる仕組みの解明を目的とする。

  • 研究計画

    永岡は、人において母乳で育てられた乳児と母乳以外で育てられた乳児の腸内細菌叢形成と類似した変化を示す遺伝子欠損マウスを有している。本マウスにおいて、哺乳期の腸内細菌叢の違いにより、成長後の脳機能に異常が生じることも確認している。現在、マウスミルク中成分解析と腸内細菌叢解析、さらには脳機能に加え免疫機能の評価系を構築している。子の脳機能を評価する上で、より高次の行動評価と分子解析が必要であり新村が担当する。最後に、ターゲット分子が同定後に必要となる合成方法の開発を齊藤が担当する。以上のメンバーにAndersson教授、Yamaguchi教授、Yoshimura教授、Jin教授を加え、本研究チームは、「究極の先制医療」を目指し認知症や癌、生活習慣病予防に効果のある善玉腸内細菌の探索とそれらの増殖をコントロールする母乳中成分の探索と同定、さらにはターゲット分子の合成方法の確立とIn vivo動物モデルによる評価を行い、創薬シーズ開発をも念頭に置いた一連の研究を展開する。

代表者について

外国人研究者について

Leif Andersson

所属研究機関 ウプサラ大学 (スウェーデン)
部門 Department of Medical Biochemistry and Microbiology
職位 教授
URL

Hirohito Yamaguchi   

所属研究機関 中国医薬大学 (台湾)
部門 生物医学研究所
職位 教授
URL

Akira Yoshimura

所属研究機関 トムスク工科大学 (ロシア)
部門 Research School of Chemistry & Applied Biomedical Sciences
職位 教授
URL

Wanzhu Jin

所属研究機関 中国科学院(中国)
部門 Institute of Zoology
職位 教授
URL

Zeki Yilmaz (2021.01.26 - )

所属研究機関 ウルタグ大学(トルコ)
部門 Institute of Zoology
職位 教授
URL

その他の研究者

齊藤 亜紀夫 (工学研究院・准教授)
新村 毅 (農学研究院・准教授)
田中 綾 (グローバルイノベーション研究院・キャリアチャレンジ教授) (2021.01.26 – )
濱部 理奈 (グローバルイノベーション研究院・特任助教) (2021.04.01 – )

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