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◆講演者: Dr. Susanne Lackner (米国、カリフォルニア大学 アーバイン校、教授)
◆講演タイトル:”Membrane Aerated Biofilm Reactors for Nitrogen Removal – moving from Lab to Full Scale Applications”
◆日時:2024年9月27日(金)15:00~16:30
◆会場:東京農工大学 小金井キャンパス 科学博物館本館 3階 講堂
◆言語:英語
◆開催担当者:工学研究院 寺田 昭彦 教授(グローバルイノベーション研究院 GRH「栄養塩マネジメント学拠点」拠点)
◆開催案内
◆参加人数:23人
講演概要
水環境汚染、生物多様性、温室効果ガス排出の温床となる排水に含まれる窒素化合物の適切な処理は、必要不可欠の技術である。窒素除去の省エネ化は、このような観点から喫緊の技術課題であり、技術の革新が強く求められている。本セミナーでは、新しいバイオフィルム技術として実用化が急速に進むガス通気型バイオフィルムリアクター(MABR)の研究で世界的に著名なドイツ・ダルムシュタット工科大学のSusanne Lackner教授を招聘し、GIRセミナーを開催した。
講演ではMABRの原理について図を使ってわかりやすく説明され、本技術の優位性について理解を深めることができた。次に、ラボスケールの実験結果について説明があり、MABRの概念実証に資する研究成果が多角的アプローチを通して紹介された。さらに、実規模のMABRに関する最新の研究成果が紹介された。この実規模MABRは、排水処理施設からの余剰汚泥の脱水機から排出する脱離液の中に含まれる高濃度窒素の除去を担うシステムであり、実規模のMABRによる脱水の脱離液からの窒素除去は、世界で初めての試みである。濃度変動や排水組成が刻々と変わる水を処理するのはMABRに限らず大きな挑戦性を有している。処理性能が不安定な時期があるものの、丁寧に解析を重ねて原因の究明を行うことで問題解決を図る研究アプローチには、多くの学びがあった。
さらに、Lackner教授の研究室で進行中の排水疫学や薬剤耐性菌のモニタリングといった、世界を先導する研究プロジェクトの概要が紹介され、長期にわたる丁寧なモニタリングと最先端の分子生物学的手法の融合が重要であることも説明された。
発表の後の質疑応答では、多数の聴衆から基礎から応用まで多岐にわたる質問が相次ぎ、MABRの将来展望も含めた闊達な議論が行われた。議論が白熱しセミナー時間内に収まらず、終了後も議論が続き、大変盛況なセミナーとなった。
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