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【2022.12.20.GIR公開セミナー報告】”Towards GaN-on-GaN High-power Electronic Devices”

イベント報告
2022.12.26

◆講演者、講演タイトル
Dr. Michał Boćkowski(ポーランド、ポーランド科学アカデミー 、教授) 
“Towards GaN-on-GaN High-power Electronic Devices”

◆日時:2022年12月20日(火)

◆会場:東京農工大学 小金井キャンパス 13号館 4階 講義室 L1341

◆言語:英語

◆開催担当者:熊谷 義直 教授 (グローバルイノベーション研究院 エネルギー分野 熊谷義直ユニット)

開催案内

◆参加人数: 29名

講演概要

 Michał Boćkowski先生をお迎えし、GIR公開セミナーを開催した。Boćkowski先生は結晶工学を専門とし、特に高圧下における結晶成長で世界的に著名な方である。2023年1月からはInstitute of High Pressure Physics (UNIPRESS)の所長に就任される。本セミナーでは、低損失・高耐圧トランジスターを実現可能にする材料として注目されている窒化ガリウム(GaN)結晶について、UNIPRESSで進んでいる研究について解説いただいた。
 上述のトランジスター実現には、低転位密度かつ大口径なGaN単結晶ウェハの実現、その上へのn型ホモエピタキシャル厚膜の成長技術、さらにホモエピタキシャル層中への局所的p型領域形成技術の開発が必須である。
 UNIPRESSでは、超高圧・高温に保持されたアンモニア中でのGaN多結晶(原料)溶解と種結晶上への再析出を利用するアモノサーマル法の研究が進んでおり、世界中で報告されているGaNバルク結晶成長のデータと比較して最も高品質な結晶を成長できていることが紹介された。また、本GaNウェハ上へのホモエピタキシャル成長においては、炭素汚染のない膜を高速で気相から成長可能なハイドライド気相成長(HVPE)法を用いた成果が紹介された。HVPE法は我々のチームが世界的を牽引してきた手法でもあり、本手法が採用されていることに対し参加者から多くの質問・ディスカッションがあった。GaNホモエピタキシャル層中に局所的にp型領域を形成する手法については現在、世界中で多くの研究が進められている。UNIPRESSでは超高圧の窒素雰囲気下におけるGaN結晶の安定性を丁寧に調べ、1 GPaの超高圧であれば1500℃程度の高温熱処理を実施可能なことを解明し、局所的にマグネシウム(Mg)イオンを注入後に超高圧下の高温熱処理で注入損傷を回復させるp型領域形成を実現した。このように、新材料の物性を丁寧に調べることがブレークスルーを実現する上で非常に重要なことを説明いただいた。
 公開セミナーには企業の研究者達も参加しており、セミナー終了後には学生・企業研究者・教員らによる総合的なディスカッションがあり刺激的で非常に有意義なセミナーであった。

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