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【2026.5.1GIRセミナー報告】Dr. Micha Fridman “Chemical Probes in Antifungal Research: Decoding Mechanisms, Resistance, and Drug Discovery Concepts”

イベント報告
2026.5.18

◆講演者:Dr. Micha Fridman (テルアビブ大学、教授)
◆講演タイトル:“Chemical Probes in Antifungal Research: Decoding Mechanisms, Resistance, and Drug Discovery Concepts”
◆日時:2026年5月1日(金) 15:30~17:00
◆会場:東京農工大学 小金井キャンパス 8号館 3階 L0831講義室
◆言語:英語
◆開催担当者:工学研究院 櫻井 香里 教授 (グローバルイノベーション研究院 ライフサイエンス分野 櫻井チーム )
開催案内
◆参加人数:15人

講演概要

テルアビブ大学理学部化学科より Micha Fridman先生を7年ぶりにお迎えして、GIR公開セミナーを開催した。Fridman先生は抗真菌剤の合成開発とケミカルバイオロジー研究の第一人者であり、Wolf Prize選考委員、イスラエル化学会 Medical Chemistry 部会の副部会長としても活躍されている。

 本セミナーでは、近年深刻な脅威をなっている真菌感染症の増加傾向と、抗真菌薬耐性の急速な出現という課題に対処するため、生きた細胞内で薬剤がどのように作用するかという根本的な問いから、作用機序や耐性の解明に向けた研究グループの最先端の取り組みが解説された。  

 これまでに Fridman先生らは、臨床現場で使用される3つの主要な抗真菌薬群、すなわちアゾール系、エキノカンジン系、およびポリエン系をモデルとした包括的な蛍光化学ブローセットを開発し、生きた真菌細胞内での薬剤の局在や挙動を顕微鏡下で直接可視化することを可能にした。また、エキノカジン系の蛍光類似体を用いた解析では、真菌細胞表面への蓄積が抗真菌効果と強く相関していることが明らかになった。イメージングに基づく取り込みアッセイより耐性の予測が可能となったほか、エキノカンジンの骨格を分子編集することで耐性株に対する活性を回復させることにも成功し、構造活性相関や標的結合に関する重要な知見が得られた。

 さらに、エキノカンジン耐性を克服する最新の試みとして、最小限の化学修飾に関する新たな戦略が報告された。臨床で使用されているエキノカンジンに含まれる異常アミノ酸であるL-ホモチロシンのベンジル基を選択的に除去することで、ヒト細胞に対する低毒性を維持しつつ、幅広い耐性カンジダ菌株に対する効力を回復させた。この単一部位の修飾は、薬剤と標的の相互作用に関する新知見をもたらし、耐性真菌病原体への感受性を回復させる簡便かつ効果的なアプローチを提供する。これらの研究を総合することで、蛍光プローブ設計と生細胞イメージングを統合したケミカルバイオロジーの強固な枠組みが確立された。抗真菌薬の作用と耐性に関する直接的な視覚的なエビデンスの提示は、非常に説得力があり、今後のより効果的な抗真菌療法の開発や革新的な創薬に向けた新たな研究の方法論として学ぶことができた。セミナー後には教員のみならず、学生からも多数の質問があり、活発な議論を交える有意義な機会であった。

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