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イベント報告

【2022.1.13 GIR公開セミナー報告】 “CRAGE enables rapid development of synthetic biology“, “Biological Adaptations to Extreme Environments“

2022.1.18

◆Dr. Yasuo Yoshikuni(米国、ローレンス・バークレー 国立研究所、US Department of Energy Joint Genome Institute、グループリーダー)
〈講演タイトル:CRAGE enables rapid development of synthetic biology〉

◆Dr. David Kisailus(米国、カリフォルニア大学アーバイン校、Department of Materials Science and Engineering、教授)
〈講演タイトル:Biological Adaptations to Extreme Environments〉

◆日時:2022年1月13日 (木)

◆会場:Zoom

◆言語:英語

◆開催担当者:新垣 篤史 准教授 (グローバルイノベーション研究院 エネルギー分野 新垣チーム)

開催案内

◆参加人数: 32名 後日google classroomで配信

講演概要

令和4年1月13日にYasuo Yoshikuni先生、およびDavid Kisailus先生によるGIR公開セミナーを開催した。それぞれ約1時間のお話をいただいた後、参加者からの質疑応答の時間を設けた。

Yoshikuni先生には、種選択性のない微生物のゲノムエンジニアリング技術について解説いただいた。特に、近年、Nature誌やその姉妹誌、Science誌等に投稿された論文の成果を中心にお話された。冒頭では、Lawrence Berkeley National Laboratoryのロケーション・環境や取り組みについての紹介があった。Chassis-independent recombinase-assisted genome engineering (CRAGE)技術は、遺伝子組換えのランドパッドとなる配列を予めホストゲノムに導入することで、あらゆる微生物に高効率に大規模な遺伝子の導入が可能とのことであった。その結果、物質・エネルギー生産の最適ホストの網羅的な構築が示された。また、二次代謝産物生産に関わる遺伝子クラスターの組換え技術とそれを利用した物質生産微生物創製への展開が紹介された。この他、植物の成長を助ける農業用微生物のゲノムエンジニアリングについても紹介がなされた。持続可能な物質生産の実現に向けては、このような積極的な合成生物の利用が必要となるであろうことが展望として述べられ、ゲノムエンジニアリング技術の可能性が理解できた。

Kisailus先生からは、マンティスシュリンプやヒザラガイなどが形成する高硬度物質の解析と、砂漠などの乾燥環境下で生息するシアノバクテリアの水分子獲得戦略について解説頂いた。Kisailus先生はこれまでに、本学の多くの学生の留学を受け入れられていると共に、米国からも、学生を本学に派遣されており、今回のセミナーで発表された研究の一部は、これらの学生の相互派遣の成果であった。マンティスシュリンプやヒザラガイは、それぞれの餌を獲得するために独自の高硬度物質を生産している。マンティスシュリンプの両腕にはハイドロキシアパタイトの結晶で覆われた鋏が備わっており、この鋏を高速で打ち出すことで貝などの殻を粉砕し、食料を得ている。鋏上のハイドロキシアパタイトは、ナノサイズの微結晶がごくわずかに角度を変えて整列した独特の構造をとっている。鋏を打ち付けるインパクトが加わると、微結晶同士の間に亀裂が生じ、微結晶が回転するなどしてエネルギーを吸収している。これらの作用により、硬さと靭性を併せ持つ高機能物質が形成されるとのことであった。一方、乾燥環境下で生息するシアノバクテリアは、岩の隙間にバイオフィルムを形成する。バイオフィルム中の細胞は、接触する鉱物の内、水和水を含む結晶に接触している。この結晶中の水和水を取り込むことで、砂漠のような水分子を獲得することが難しい乾燥環境でも生育できるのではないか、と考察されていた。実際に、シアノバクテリアと接触している鉱物の結晶構造の解析から、水和物と無水物の検出を行うことで、この仮説を検証されていた。教員のみならず多くの学生からも質問があった。活発な議論や意見交換がなされ、非常に有意義なセミナーとなった。

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