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イベント報告

【2021.6.11 GIR公開セミナー報告】 “translatEプロジェクト:生物多様性保全における言葉の壁を克服する”

2021.6.24

Dr. Tatsuya Amano (Australian Research Council Future Fellow, School of Biological Sciences, University of Queensland, Australia)

◆日時:2021年6月11日(金)

◆会場:Zoom

◆言語:日本語

◆開催担当者:赤坂 宗光 教授 (グローバルイノベーション研究院 食料分野 小池チーム)

◆参加人数: 30名 後日google classroomで配信

開催案内

講演概要

オンラインで実施した本セミナーには、30名の参加があった。本セミナーでは、天野先生が主導されている研究プロジェクトであり、生物多様性の保全に関わる知見の言語の障壁について取り組んでいるtranslatEプロジェクトの成果について紹介がなされた。

(なお、生物多様性の保全に関わる知見の言語の障壁は、国際的には非常に注目されており、天野先生の取り組みは、イギリスBBC等でも取り上げられ、NatureやScienceでも特集記事が組まれるなど注目度の高い研究課題である。)

導入として、鳥類の保全に関わる研究者として、Nature等に成果が講評されている天野先生が、言語の障壁に注目された理由として、鳥類をはじめとした生物の分布情報を格納した全球スケールのデータが、主に英語圏に偏って分布していることなどに着想を得たことの紹介があった。その後、エビデンス(科学的知見)に基づいた保全の重要性について、具体例をふまえた説明を行い、科学的知見の重要性を確認したうえで、具体的な研究成果の紹介があった。先生の研究グループの成果としては、生物多様性保全に関わる知見の36%が英語以外で公表されている事といった、研究成果に使用されている言語についての実態の把握と併せて、国際レベルでの科学知見の統合において、非英語がどの程度利用されているか、無視することでどのような問題があるかについての検討結果についての紹介があった。具体的には、非英語の知見を無視する理由として用いられる4つの理由(1. 殆どの知見は英語で得られる、2. 非英語の文献は減少している、3. 英語の知見は全ての言語の知見のランダムな部分集合, 4. 非英語の文献の質が低い)を検証されており、4以外の理由がデータから支持されないことの紹介があった。本講演は、生物そのものを扱った内容ではなかったが、英語を母語としない日本人学生が国際的な舞台で活躍するうえでの自身ができることを意識するうえでも非常に有意義な講演で会った。

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