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2021.4.12
講演者
Dr. Shinji Makino (Professor, Department of Microbiology and Immunology, The University of Texas Medical Branch at Galveston, U.S.A.)
◆日時:2021年3月30日(火)
◆会場:Zoom
◆言語:英語
◆開催担当者:水谷 哲也 教授 (グローバルイノベーション研究院 ライフサイエンス分野グループ)
◆参加人数: 20名 後日google classroomで配信
◆開催案内
講演概要
牧野先生の主要な研究テーマのひとつであるリフトバレーウイルスのパッケージングに関する講演を行っていただいた。このリフトバレーウイルスはもともとブニヤウイルス科に属していたが、ブニヤウイルス全般について分類が再構成されて、ブニヤウイルス目―フレボウイルス科に属するリフトバレーウイルスになったことを冒頭に述べられた。
リフトバレーウイルスは野生動物と蚊の間で感染が成立しているが、ヒトに感染すると脳炎や失明などを起こす。このウイルスはアフリカの各地で検出されている。一方、アフリカ大陸以外の国々でもこのウイルスを媒介できる蚊が存在していることから、治療薬やワクチンの研究開発を行う意義がある。
リフトバレーウイルスはウイルス粒子の中に3つのRNAセグメントを入れている、と教科書に書いてある。しかし、牧野先生らのグループはこれまでに第4のRNAセグメントが存在することを明らかにしてきた。それが、ポジティブ鎖のSセグメントである。ところが、他の2つのLとMセグメントはほとんどウイルス粒子にパッケージングされない。
そこで、牧野先生のグループはポジティブ鎖とネガティブ鎖のRNAを正確に検出できるリアルタイムPCRの系を確立した。そこで改めてウイルス粒子中のウイルスRNAを調べてみると、ポジティブ鎖のMセグメントが最も多く含まれ、ポジティブ鎖のSセグメントは少なく、ネガティブ鎖のSセグメントの量が多いことがわかった。これはSセグメントが短いためにウイルス粒子に取り込まれるのではなく、ネガティブ鎖のSセグメントには何らかのエレメントがあり、選択的にウイルス粒子に取り込まれるという仮説が成り立つ。このメカニズムを解明するために、ウイルスの蛋白質とRNAの複雑な結合があることが明らかになってきた。
牧野先生のグループの研究はウイルスパッケージングのメカニズムを明らかにすることにより、将来的に治療薬やワクチンに応用できる可能性がある。
ご講演のあとで、学生たちから多くの質問があり活発なdiscussionが行われた。
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