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イベント報告

【2019.10.16 GIR公開セミナー報告】”Forest, Water, and Soil: Consequences of land management in watersheds”

2019.10.23

講演者 

Dr. Lee H. MacDonald (Natural Resource Ecology Laboratory, Colorado State University, USA)

◆日時:2019年10月16日(水)

◆会場:

メイン会場:東京農工大学 府中キャンパス本館1階 第五会議室
遠隔会場:東京農工大学 小金井キャンパス13号館4階402室

◆言語:英語

◆開催担当者:五味 高志 教授 (グローバルイノベーション研究院  食料分野 五味チーム)

◆参加人数: 20名

開催案内

講演概要

森林管理とSDGsの達成の関連は強く、とくに、持続的な森林管理は目標15である陸域の保全、目標13に対応する気候変動、目標6の安心安全な水の確保などと関連している。これらの森林管理について、本セミナーでは、森林の管理や木材利用と関連する路網に注目し、その路網にともなう、土壌侵食と水質や水流出など水資源管理についての提案が紹介された。とくに、流域スケールでの森林管理では、農学や工学などの多様な聴講者を対象として、森林環境下での、土壌と水の基本的な動態について解説から、マクドナルド教授のこれまでのフィールドによる観測結果の紹介、さらには将来予測に重要となるモデリングの手法など、水文学的および地形学的プロセスを評価するためのアプローチが紹介された。
カリフォルニア州における森林管理では、1900年代前半から大規模な皆伐が行われ、その際には、伐採木の搬出には鉄道が利用されていた。その後、1950年代ころから林道などでトラックなどが設置され、1980年代まで路網を用いた伐採が行われた。1980年代以降は、環境保全の動きもあり、伐採が抑制された。このような流れの中で、伐採による土壌侵食量の定量評価を行うために、短期的な土壌侵食量の流出観測に加えて、宇宙線生成核種(ベリリュウム10)を用い侵食量評価が紹介された。ベリリュウム10による土壌侵食量は、中長期的な土砂の流出量を評価することができる最新の分析方法である。その結果、1900年代に実施されていた、皆伐では、鉄道網を用いていたことから、土壌侵食量については、近年の路網を用いた土壌侵食量と比較すると大きくないことが示された。このことは、路網の管理方法や路面の保全が、林道の管理において重要であることを示している。これらの結果に加えて、路面の管理による土壌侵食や水質の変化は、下流域のシャケ科魚類の管理など漁業にも大きな影響はあることが示された。以上のように、マクドナルド教授の講義を通じて、持続的な資源管理においては、時間的にさまざまなスケールを見ることの重要性、上流域から下流域までの森林のみならず、水や魚類など生態系を考慮した視点が重要であることが示された。府中キャンパスと小金井キャンパスでの遠隔セミナーの実施により両キャンパンスから農工で多様な質問がされた。

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