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◆講演者:Dr. Masahiro Ryo (ドイツ、ライプニッツ農業景観研究センター (ZALF)・ブランデンブルク工科大学、教授)
◆講演タイトル: “Artificial intelligence for smart agriculture”
◆日時:2023年10月16日(月) 16:00~17:00
◆会場:東京農工大学 府中キャンパス 2号館 1階 多目的講義室、Zoom
◆言語:英語
◆開催担当者:桂 圭佑 准教授(グローバルイノベーション研究院 食料分野 大津チーム)
◆開催案内
◆参加人数: 対面45名, オンライン36人
講演概要
Masahiro Ryo教授をお迎えし,GIR公開セミナーを開催した.Ryo先生は情報工学を専門としており,人工知能(AI)の農業分野への実装に取り組む第一人者である.本セミナーでは,AIとは何かや,AIの発展の歴史について概説いただくとともにAIの農学分野への実装例をお話しいただいた.
特に途上国の小農への技術実装について力を入れられており,画像を使ったコーヒーの収量予測に関する例を詳説され,深層学習を使った画像データ解析の重要性や可能性を紹介された.画像データは今や世界中どこでも誰でも簡単にできるため実用性の高さの点からも着目されている.また,ヨーロッパにおいては生態系の多様性の重要性が見直されているが,その客観的な評価についても画像データが有効であることを示された.また,機械学習の問題はその解釈性の低さが指摘されているが,その点の改善に向けた取り組みに関しても様々な取り組みを紹介された.特にChatGPTに代表される大規模言語モデルに着目されており,大規模言語モデルに専門分野に関する情報を学ばせることで,それぞれの分野に関する回答の精度を高めることが可能であることを示された.AIが導いた回答の妥当性をユーザーが確認する際に,Chatbotを補助的に使うことが有効ではないかとお話しされた.
また,セミナーの後半では若手のキャリアパスについてお話しされた.特に海外でポスドクをしたい場合,日本では日本学術振興会の海外特別研究員制度はよく知られているが,世界には多くのポスドク公募の機会があることをお話しされた.その中にはしっかり奨学金をもらいながら博士課程で学べる機会なども多くあるため,アンテナを張ることと,人とのつながりが需要であることをお話しされた.また,論文などのインパクトを高めることは言うまでもなく重要だが,それは運による要素も大きいこと,そして,質の高い論文を書くことも重要であるが,国際会議に参加したりワークショップを開催したりしながら,自分自身が認知されることも論文の被引用数の増加に効果があることをお話しされた.
最後の質疑では研究内容に関するものに加えて,日本人が海外で活躍する上で英語が障壁になることが多い点についての質問があったが,それについてはとにかく海外でポジションを得ること,その環境に飛びこむことが重要で,そうすることでより語学力の問題が深刻になり,真剣に取り組むことができるとご助言いただいた.公開セミナーには対面,オンライン含め多くの参加者があり,非常に盛況で,学生たちも多くの刺激を受けるものとなった.
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