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【2025.10.30 GIR公開セミナー報告】Dr. Keith Pardee “Programmable Cell-Free Systems for Global Health Applications”

イベント報告
2025.11.11

◆講演者:Dr.Keith Pardee (カナダ、トロント大学、准教授)
◆講演タイトル:”Programmable Cell-Free Systems for Global Health Applications “
◆日時:2025年10月30日(木)(16:30~17:30)
◆会場:東京農工大学 小金井キャンパス 11号館  1階 L1111講義室
◆言語:英語
◆開催担当者:グローバルイノベーション研究院 竹内七海 特任助教 (グローバルイノベーション研究院  ARC川野チーム
開催案内
◆参加人数:30

講演概要

Keith Pardee先生(トロント大学)をお迎えし、GIR公開セミナーを開催した。低・中所得国などの低資源環境における分散型バイオテクノロジーの開発で世界的に著名な研究者であり、特にセルフリータンパク質合成系を用いた現地試薬生産技術の分野を先導している。講演では、電力や冷却設備が限られた環境においても、診断酵素や抗体、ワクチン抗原を現場で製造できる新しい生物製造プラットフォームの開発について詳しく紹介された。

Pardee先生の研究室では、紙基板上で反応を行う診断デバイスや、小型・低コストの分析装置「PLUM」、さらに合成から精製までを自動で行う装置「Mango」を開発し、南米やインドの現地研究機関と連携して臨床検証を行っている。その結果、これらの装置を用いることで、RT-qPCRと同等の精度を維持しつつ、短時間かつ低コストで感染症を検出できることが示された。また、3Dプリントや凍結乾燥技術を組み合わせた超低負担型バイオ製造法を確立し、電力供給のない地域においても酵素や抗体を自律的に生産できることを実証した。

さらに講演では、無細胞系を応用した新型コロナウイルス抗原ワクチンの試作や、抗TNF-αナノ抗体の合成とその生物活性評価についても紹介された。これらの研究は、発展途上地域における診断・治療薬のアクセス格差を縮小し、世界的に持続可能な医療・研究体制を実現することを目指すものである。講演後の質疑応答では、多くの参加者から活発な意見交換が行われた。Pardee先生の講演は、研究と社会貢献を結びつける先進的な取り組みとして、参加者に強い印象を与えるものであった。

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