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◆講演者:Dr. Kenji Uchimura (フランス、フランス国立科学研究センター、リサーチディレクター)
◆講演タイトル:”Cell Fate Determined by Sulfate: Biological Roles of Sulfated Glycans in Cellular Function “
◆日時:2025年9月26日(金)(16:00~17:00)
◆会場:東京農工大学 小金井キャンパス 11号館 5階 L1151講義室
◆言語:英語
◆開催担当者:グローバルイノベーション研究院 竹内七海 特任助教 (グローバルイノベーション研究院 ARC川野チーム)
◆開催案内
◆参加人数:15
講演概要
フランス国立科学研究センターから内村健治先生をお招きし、ご研究内容に加え、内村先生が所属するUGSF、CRNS、さらにフランスでの研究体制についてもご紹介いただいた。
糖鎖は細胞表面の情報基盤であり、その硫酸化は細胞間シグナルと免疫応答の調律因子である。炎症は異物排除を目的として発動し、自然免疫から獲得免疫へ移行する過程でリンパ球は高内皮細静脈(HEV)を介して組織へ出入りする。この多段階カスケード(tethering/rolling→接着→通過)では、内皮上の硫酸化糖鎖がL-selectinリガンドとして機能し、ローリングを安定化して停止への閾値を下げることで遊走効率を規定する。硫酸基はゴルジ体で硫酸転移酵素により付加され、これら酵素の発現と活性の時空間制御がリガンド密度と配置を決め、最終的にリンパ球の血管外遊走と組織内での誘導を制御する。本セミナーでは、内村先生がこれまでのご研究で明らかにされてきた成果として、GlcNAc6ST-1がローリングの安定化に必須であること、また血管内腔だけでなく外側にも硫酸化糖鎖が存在し、リンパ球がperivascular spaceに進入する過程でも重要な役割を果たすことが紹介された。さらに、GlcNAc6ST-1とGlcNAc6ST-2の協調的作用がリンパ球ホーミングを支えていることが示され、炎症の場におけるリンパ球動態の理解が深められた。総じて、本講演は、硫酸化糖鎖による免疫制御メカニズムについてのこれまでの知見を整理し、今後の基礎研究および臨床応用への展望を示す貴重な機会となった。
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