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イベント報告

【2021.7.26 GIR公開セミナー報告】 “Curiosity-Driven Research: the molecular mechanism of microtubule luminal access”

2021.8.26

Dr. Takanari Inoue (米国、ジョンズホプキンス大学、Department of Cell Biology、教授)

◆日時:2021年7月26日 (月)

◆会場:Zoom

◆言語:英語

◆開催担当者:篠原 恭介 教授 (グローバルイノベーション研究院 ライフサイエンス分野 篠原チーム)

◆参加人数: 32名 後日google classroomで配信

開催案内

講演概要

Dr. Takanari Inoue先生をお迎えしてGIRセミナーを開催した。Inoue先生はケミカルバイオロジーの手法を用いて細胞生物学における未解決問題を次々に明らかにしている研究者である。今回井上先生は細胞骨格のひとつである微小管の内部に蛋白質を封入する制御可能な技術を開発され発表された。微小管は幅25nmの中空構造を有しチューブリンというタンパク質が螺旋状につながることで形成される。今回チューブリンタンパク質において、微小管の空孔の内側に向いた箇所と外側に向いた箇所にそれぞれFRBタンパク質を融合させた2種類のチューブリンタンパク質を開発した。同時に基質として黄色蛍光タンパク質YFPにFKBPを融合させたタンパク質を開発した。実はRapamycinという試薬の存在下でのみ、FRBとFKBPは強い相互作用でヘテロ2量体を形成することが知られている。すなわち、これはRapamycinを細胞に処理することをトリガーとして目的の基質タンパク質を微小管内部と外部に強制的に局在させることができる技術である。今回の発表では実際に培養細胞を用いてこの予想通りの反応が起こるか検証した結果が報告された。培養細胞において、Rapamycinを処理するとYFPタンパク質が細胞内の微小管構造内部に数分~数十分間の時定数で封入された。興味深い事にこの封入は微小管が成長する先端(+端)から順に発生することが観察された。微小管+端の持つ開いた構造からの自然拡散で説明ができると発表されていた。本研究で開発された技術により、今後細胞内の微小管の性質を様々に操作することが可能になり疾患発症機序や生理機能の解明への応用が期待される。学生に30名以上参加していただき、海外留学に必要な資質や留学のきっかけに関する質問があった。その分野のトップレベルの研究者と学生が触れ合う大変よい機会となった。

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