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イベント報告

【2020.11.6 GIR公開セミナー報告】 “Extracellular vesicles: their role in normal and pathological physiology”

2020.11.20

講演者 

Dr. Richard J. Simpson (Distinguished professor, Department of Biochemistry and Genetics, La Trobe University, Australia)

◆日時:2020年11月6日(金)

◆会場:Zoom

◆言語:英語

◆開催担当者:天竺桂 弘子 教授(グローバルイノベーション研究院  ライフサイエンス分野 池袋チーム)

◆参加人数: 35 名 後日google classroomで配信

開催案内

講演概要

Richard J. Simpson先生をお迎えしてオーストラリアと日本の参加者をZoomで接続し、GIRセミナーを開催しまし。Simpson先生は、生物および生化学分野において” Highly Cited Researcher”に選出された、分野を牽引する第一人者です。Simpson先生は現在、エキソソーム生物学を専門としており、特に大腸癌を対象とした疾患進行の分子メカニズムと、組織浸潤のバイオマーカーの探索に力を注がれています。

本講演では、疾患時と平常時における細胞外小胞の機能の紹介と、癌進行診断への適応についての最新の研究成果についてご紹介いただきました。はじめに、細胞から放出される小胞である“細胞外小胞”について、その由来や特徴についてご説明いただきました。次に、それらの単離および特性解析に用いる方法をご紹介いただき、疾患における細胞外小胞内に含まれているタンパク質成分がバイオマーカーとして役立ち、それを用いれば癌の早期診断や、転移の予測が可能なことを概説されました。その例として、ヒト大腸がん由来の細胞外小胞は、疾患に特異的なタンパク質とRNA(mRNA、スプライシングバリアントmRNA、miRNA、およびlncRNA)のプロファイルを持っていることや、細胞外小胞により別の組織へ転移することを示されました。この組織浸潤には初期エクソソームの役割が重要であることを実験データを交えて紹介いただきました。また、エキソソーム依存性腫瘍間質連絡、前転移性ニッチ形成、上皮間葉移行、および小胞表面タンパク質の網羅的な成分の解析についての研究についても紹介されました。

本講演には大学院生および学部3、4年生に加えて、工学部および農学部に所属する多数の教員、他大学の教員が参加し、最新の研究成果を拝聴しました。また、農、工学府の教員を中心とし、活発な議論が交わされました。さらには、農工大外部から4名の参加がありました。セミナー終了後も少し時間を取り、個人的な質問の場も設けたところ、学部生がSimpson先生に質問する様子が見られ、教員だけでなく本学の大学院生と学部生に対し、大きな刺激を与えた大変良い機会になりました。途中ネットワークの接続に少しトラブルがあり、音声が聞こえにくい等のトラブルが生じましたが、セミナーは成功に終わりました。来年度は農工大で対面のセミナーを開催することをSimpson先生と約束し、閉会しました。

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