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イベント報告

【2019.11.26 GIR公開セミナー報告】”Vegetable-based Oil as a Sustainable Lubricant for Machining Process”

2019.12.3

講演者 Dr.Erween Abd. Rahim (Associate Professor, Universiti Tun Hussein Onn Malaysia, Malaysia)

◆日時:2019年11月26日(月)

◆会場:東京農工大学 小金井キャンパス 9号館5階505会議室

◆言語:英語

◆開催担当者:笹原 弘之 教授 (グローバルイノベーション研究院  エネルギー分野 小笠原チーム)

◆参加人数: 12名

開催案内

講演概要

Erween Abd. Rahim先生をお迎えしてGIR公開セミナーを開催した.Universiti Tun Hussein Onn Malaysiaについて概要の説明の後,植物性油を用いた生分解性機械加工用油剤の開発について,最新の研究状況をご紹介いただいた.
まず,機械加工用途での金属加工油剤について,動物性油脂,植物油などの再生可能資源からの潤滑剤を利用することにより,人類の健康問題や環境への悪影響を無くし,持続可能な製造活動に大きく貢献することについて説明があった.なかでも,植物油からの再生可能な潤滑剤を創成することは,高度な生分解性,非毒性,良好な潤滑特性などの優れた特性をもたらすため,これまで多く用いられてきた石油由来のものに代わる潤滑剤として非常に魅力的である.パーム油やジャトロファ油(ジャトロファ:広葉落葉樹で,種子に高い密度で油分が含まれている)などの植物油ベースの金属加工油剤は,人間と環境に悪影響を与える鉱物油の代替として望ましい特性を有する.
パーム油やジャトロファ油は他の植物油と比べて加熱安定性は高いが,さらに切削油剤としての潤滑性能を高めるために長く分岐した炭素鎖を形成するような化学的プロセスが必要であることが説明された.また,さらに局圧潤滑性能を高めるために,hBN(六方晶窒化ホウ素)を添加し,そのローリング・エフェクトにより摩擦を低下させることが可能である.
上記のような処理を施したジャトロファ油を用いて,四球式の摩擦試験を行ったところ,優れた潤滑特性を示した.さらに,その油剤を圧縮空気と共に微量だけ供給する手法(MQL)を用いて,コーティングなしのサーメットインサートを使用して中炭素鋼を旋削し,切削力,切削温度,表面粗さ,および工具寿命について評価を行った.形成された薄い潤滑膜は,工具と工作物の界面での摩擦に耐えることができ,低切削力,低切削温度,低表面粗さ,長寿命をもたらすことについて説明があった.

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