メニュー

イベント報告

【2019.10.04 GIR公開セミナー報告】”Stability and resilience in river networks (河川生態系の安定性とレジリエンス)”

2019.10.11

講演者 Dr. Akira Terui  (Assistant Professor, The University of North Carolina at Greensboro, U.S.A.)

◆日時:2019年10月4日(金)

◆会場:東京農工大学 府中キャンパス 1号館 11教室

◆言語:英語

◆開催担当者:赤坂 宗光 準教授 (グローバルイノベーション研究院  食料分野  小池チーム)

◆参加人数: 27名

開催案内

講演概要

照井彗先生(Akira Terui Assistant professor, Department of Biology, University of North Carolina at Greensboro, 米国)をお迎えして、公開セミナーを開催した。

照井先生は主に淡水生態系に注目した群集生態学や空間生態学の研究をすすめられている。近年では、既存空間データと統計モデルを用いて、淡水生態系の生物多様性に関わる、理論的な枠組みを構築する研究に精力的に取り組まれている。

本セミナーは、Stability and resilience in river networks (河川生態系の安定性とレジリエンス)というタイトルで実施した。まず、最初に、昨年、Proceedings of the National Academy of Sciences誌に掲載された、スケールフリー性をもつ河川の枝分かれ構造が、河川に生息する生物の個体群の安定性をもたらしていることを明らかした研究を紹介いただいた。この研究は、これまで生態系の安定性を高める主要因として、考えられていた空間スケールの広がりと併せて、河川生態系においては枝分かれ構造が重要な意味を持つことを示した重要な研究である。理論としては難解な面があった研究ではあるものの、わかりやすい事例を用いながら紹介を頂いた。次いで、最近、Journal of Applied Ecology誌に掲載が決定した研究について解説頂いた。解説頂いた研究は、環境悪化に伴う群集の分解(community disassembly)過程において、これまで考えられていなかった生物種の喪失に先立つ生物の生態系機能の低下について、ミシシッピ川に生息する10数種の2枚貝を対象として飼育実験と既存データに基づく統計モデルにより明らかにしたものである。環境悪化に対して、どのような順番で生物種が失われるかという問題は、本学の自然環境に関わる問題に関心がある学生にとっても関心の高い内容であるが、生物種が存在するのにもかかわらず、生態系機能が損なわれるという点や、このことが自然環境や生物多様性保全に果たす意義については、重要な示唆がなされていた。講演後には、聴講者から盛んに質問が出され、終始活発な意見交換が行われ、特に熱心な参加者(学生)については、複数名、セミナー終了後も長時間にわたり照井先生に質問をし、先生も丁寧に回答くださっていた。

このページの上部へ