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イベント報告

【2019.07.29 GIR公開セミナー報告】”Genomic insights into immunity from an aspiring model species”

2019.8.7

講演者 Dr. Seth Barribeau (University of Liverpool)

◆日時:2019年7月29日(月)

◆会場:東京農工大学 府中キャンパス 第2講義棟 22教室

◆言語:英語

◆開催担当者:井上真紀 講師 (農学研究院)

◆参加人数: 13名

開催案内

講演概要

Seth Barribeau先生のGIR公開セミナーを開催した。Barribeau先生は動物の免疫システムの進化生態学を専門としており、近年は特に非モデル生物の社会性ハナバチ類を材料として免疫システムに関する研究を行っている。その成果は、IFの高い雑誌PNAS誌に掲載されいる。本セミナーでは、次世代シーケンス解析に基づく社会性免疫、免疫の特異性、免疫の記憶をテーマに進化生態学的視点から実施している研究を中心に講義していただいた。1つめのテーマは、社会性のハナバチ類では単独性のハナバチ類に比べて免疫関連遺伝子数が少なく、これは互いのグルーミングや巣内のメインテナンスなどを介した社会性免疫の発達によるものであろう、という内容であり所謂「生き物の免疫システム」の概念を覆すような内容であった。2つめはマルハナバチのコロニーごとに、トリパノーマCrithidia bombi各株への感受性が異なるというgenotype-by-genotype specificityについて紹介があった。植物病理学ではgene for geneの概念は一般的であるが、昆虫病理においても同様の現象があるということは興味深い結果であった。3つめは、巣の女王バチがある微生物に対して免疫関連遺伝子の発現が変動すると、その娘ワーカーにおいてあらかじめ抵抗性が高いことが紹介された。このように次世代に免疫の記憶が移行するというのは非常に興味深い現象であった。

GIR申請研究において、植物および昆虫と寄生性微生物の相互作用についてオミクス解析法により寄生現象を分子レベルで理解することを目的としており、宿主の免疫システムの理解は重要である。今回のセミナーおよびその後の質疑応答を通じて、互いの興味や知識が共有でき共同研究への足がかりができ、非常に有意義なセミナーとなった。

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