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イベント報告

【2019.06.27 GIR公開セミナー報告】”Microbiology and Engineering – how does it fit together?”

2019.7.12

講演者 Dr. Susanne Lackner (Professor at Technical University of Darmstadt, Germany)

◆日時:2019年6月27日(木)

◆会場:東京農工大学 小金井キャンパス  科学博物館講堂(3階)

◆言語:英語

◆開催担当者:寺田昭彦 教授 (グローバルイノベーション研究院  エネルギー分野  寺田チーム)

◆参加人数: 25名

開催案内

講演概要

排水処理施設における課題は、これまで長年に亘り課題となってきている栄養塩(窒素・リン)の省エネ・低コスト型除去技術の確立に加え、人類が使用する化学薬品の多様化や人口増加による食料残渣の増加に対する対応など、課題が複合化してきており、技術の高度化が求められてきている。また近年、排水処理施設においてもマイクロプラスチックや薬剤耐性遺伝子の検出など、これまでは考えが及ばない課題に直面し、問題解決に向けた対策技術の確立が急務になっている。ドイツ・ダルムシュタット工科大学のSusanne Lackner教授はこのような多様化する問題に対して、排水処理施設が最後の砦として自然環境への流出を防ぐサイトであることを喧伝し、世界に先駆けて優れた技術を提案している。本講演では、Lackner教授が同時進行している様々なプロジェクトの成果の紹介として、①効率的な窒素除去技術である嫌気性アンモニア酸化プロセスの実用化に向けた課題、②生活排水処理施設におけるマイクロプラスチックの検出と運命、③薬剤耐性遺伝子の動態解析、といった3つの最先端の知見が紹介された。嫌気性アンモニア酸化プロセスを用いた省エネ型排水処理プロセスは、予想以上に困難な状況に直面しており、実用化の難しさについて紹介された。②では、排水処理プロセスにおいて多量のマイクロプラスチックや微量汚染物質が検出されており、更なるデータ蓄積の必要性と技術開発の必要性が説明された。③では、特定の生物処理装置においては、薬剤耐性遺伝子が細菌間を水平伝播によって動き回っていることを紹介され、人類の健康を脅かす可能性が説明された。このような最先端の研究紹介を丁寧に説明され、聴衆の関心を大いに引き寄せた。講演終了後もスタッフ・学生からLackner教授の最先端の研究テーマについて多くの質問が飛び交い、予定した時刻を超過してもディスカッションが続き、講演は成功裏に終わった。

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