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日時 | 2019.6.11(14:30~16:30) |
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会場 | |
講演タイトル | 『中心小体複製の基本原理とその理論化』 北川大樹(東京大学大学院薬学系研究科・教授) 生命の有する最も基本的な特性の一つは「自己複製」です。これは単細胞生物など個体レベルで考える事もできますし、DNA複製など遺伝情報レベルで考える事もできます。同様に真核細胞において10億年以上に渡り、進化上保存されてきた細胞小器官である中心小体も細胞周期ごとに一度だけ半保存的に複製されます。中心小体は微小管-分裂期紡錘体形成中心として機能し、染色体分配やその安定性維持にも重要な役割を果たしています。中心小体は繊毛基底部としても機能し、染色体不安定化を起因とする細胞がん化、繊毛病などの遺伝子疾患、男性不妊など多くの疾病にも深く関与することが知られています。中心小体という細胞内シリンダー型構造体の複製は多種のタンパク質による「自己組織化」と捉えることもできます。「半保存的」「1細胞周期に1コピー」とDNA複製との共通項がありながら、複製システムとしては全く異なるメカニズムが推測されます。 現在、私達は、中心小体複製に介在する基本原理の理論構築、分子機構の解析を精力的に進めています。これまでの解析から、中心小体構築の初期過程において、進化的に保存された因子間の相互作用が中心小体の複製を1コピーに制限するのに重要であることが明らかになってきました。また、ヒト培養細胞における超解像顕微鏡観察やin vitro再構成系を用いて、微小空間において中心小体構成因子群がどのように構造体を構築し、複製制御を厳密に行っているのか解析を進めています。さらに、抗がん剤探索の新規ターゲットとして微小管形成中心である中心体は注目を集めており、当研究室では中心体活性制御の分子メカニズムに関しても精力的に解析を進めています。 『生きた細胞内で力を意のままに発生する手法の開発とその応用』 井上尊生(ジョンズ・ホプキンス大学 細胞生物学科・教授) 最新の生物学研究において、細胞内で従来見過ごされていたさまざまな物理現象の重要性が示唆されていますが、それらの物理現象そのものがどのような生物学的意義をもつのかという点については解明の糸口がつかめていません。私達の研究室で以前から開発を進めてきた合成生物学分野の分子ツールをさらに発展させて、従来のように細胞内のシグナル系のスイッチをON/OFFするだけにとどまらず、物質の相転移や物理的な力の発生などの物理現象そのものを生きた細胞内で自由自在に制御する技術の開発に成功したので、セミナーで発表させていただきます。これらの技術は、従前の手法では直接検証の不可能であった問い、つまり細胞内で観察された上記のような物理現象そのものに生物学的意義は存在するのか、という点に迫る数少ない研究手段であると考えられます。細胞内の物理現象を自在に制御する技術は、このような基礎生物学分野への大きな貢献だけでなく、将来的には物理現象の制御を基にした疾患の治療など、医学分野における全く新しい治療技術への発展も期待されます。 |
言語 | 日本語 |
対象 | どなたでも、ご聴講いただけます。 |
共催 | グローバルイノベーション研究院 ライフサイエンス分野 篠原研究チーム 卓越大学院プログラム |
開催概要 | |
お問い合わせ窓口 | グローバルイノベーション研究院 篠原 恭介 Email: k_shino (ここに@を入れてください) cc.tuat.ac.jp |
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